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アフターオーデュボン   

-リョコウバト-
 地球上に最も多くいたとされる鳥。その数は50億羽もいたとされる。アメリカ東部から
メキシコへ20億羽もの群れを成し渡っていた。リョコウバトが空を3日3晩絶え間なく
飛び続け、空は日食のように暗くなったという。
 1800年代に入り人々は食用として鳩を虐殺し始めた。数は見る見る減っていったが人は
それに気がつかなかった。何十億もいるものが絶滅するはずがないと高をくくっていたのだ。
 1857年10億羽のリョコウバトがミシガン州のパトスキーで発見された。貴重な生き残りの
リョコウバトで、そんなにたくさんのリョコウバトがいるのは奇跡に近かった。しかし発見
されるやいなやハンターが大挙して押し寄せ大虐殺を始めた。1ヶ月の間に300トンもの
死骸がでたという。リョコウバトは繁殖力が弱かったから大群で行動していた。
 パトスキーでの虐殺後も数は減り続けた。野生のリョコウバトは姿を消し、そして1914年
オハイオ州の動物園で最後のリョコウバトとされるマーサが死に、リョコウバトは絶滅した。
現在ではアメリカのワシントンにある国立博物館に1羽の標本が残されているだけである。




「人は失ってからでなければ、その重大さにけして気がつかない。」そんなことを思いながら、
僕は島を歩いていた。ここは人々から忘れられた島。かつては外との行き来はなく、しゃべる
案山子がいた島だ。かつてといってもつい1週間前のことだけど、ずいぶん昔のことのように
感じる。しゃべる案山子の優午が殺され、そしてこの島に足りなかったものが外から来た
人によってもたらされた。そしてそれをきっかけに、僕は島の外に出ることにした。なぜって?
それは優午にいわれたことだから・・・

「君はこの島を出なくてはいけない。そして南へ行くのです。そこで出会うユタカという人から話を聞くのです。」

優午は未来のことを知っていても話すことはなかった。しかしそのとき優午は突然こういったのだ。
その話を聞いた2日後に優午は殺された。誰がやったか僕は知らない。知る必要もないと思う。
ただ優午にいわれたことは実行すべきだと思った。そう思った僕は荷物をまとめ、熊のおっさんに
事情を説明し島をあとにした。

島を出て目にした光景は正直驚きの連続だった。みたことのない高さの建物に、まばゆい光。
そして絶え間ない音の洪水。人の多さ。すべてに圧倒され、僕は道の真ん中で耳をふさいで
しゃがみこんでしまった。人はみんな僕を避けるように早足で歩いていき、何事もなかったか
のように通り過ぎていく。そんな中、一人僕に「大丈夫?」と話しかけてくれた人がいた。
そう、それがユタカだった・・・・

参照 オーデュボンの祈り

今回はオーデュボンの祈りの世界を参考にそこの住人と言う設定で。鳩レングリーンに
なった経過を書いてます。文章は伊坂幸太郎を意識してみました。

アフターオーデュボン2に続く

by Kurt. | 2004-11-16 22:48 | 雑文(創作系) | Top |

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