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涙の泉(未完)   

トラボケのお題からインスピレーションを得て書いている短編。着地点は見えているのですが
そこまでたどり着けるかどうか微妙なところ。ただ短編といってもブログ上じゃかなり長い文章
なんで、暇なときにふらっと読んでいただけると幸いです。まだ書きかけですがあっぷさせて
いただきます。

なりっとさんの「トラバでぼけましょう2006第5回締切」にトラバしてます。




「どうして涙がでるんだろ?こうなることはだいぶ前からわかってたのに。覚悟はできてたつもりなんだけどな。ごめんね。泣くつもりなんてなかったんだ。でもわたしったら、どうしちゃったんだろう。ほんとにごめんね。わたしはだいじょうぶ。だからさ、ねっ!早く行って!じゃあね。さよなら。」


彼がわたしのもとを去ってから、1年が経つ。不思議なことにあれから今まで涙はとまることなくあふれ続けてる。その涙のせいでわたしのすむ家のまわりはほとんどが水没した。わたしが住んでいるところはその湖の真ん中に位置し、今では完全な孤島と化していた。湖は日に日にその面積を広めて、街はわたしの涙によって侵食されていく。住民たちは恐れをなしたのか、次々と街を去っていった。そして今では完全にゴーストタウンと化している。あとで知った話だが。政府がこの街を高い壁で覆う決定を下したらしい。表向きはこれ以上被害をださないためといっていたが、実際のところは今では貴重な純粋な水を確保するためらしい。まぁ、わたしの涙が純粋かどうかは疑問だけど。だから実際のところ近隣の住民は街を追い出されたらしい。今となってはそんなことどうでもよいのだけど・・・。

ここ50年で地球の環境は激変している。わたしのおじいちゃんたちの代に石油を使いすぎたせいで、歯止めが効かなくなった地球の温暖化が、たくさんの異常気象を引き起こすようになり、日本の環境も一変した。南極の氷の大半が溶けたことにより海面が上昇。そのため、国土の1/3が水没し、水没がまぬがれた地域も気象の変化によって一部は砂漠と化し、首都があった東京も、大規模な防波堤を築いたおかげで水没は免れたものの、気温の上昇が激しくいまでは熱帯となっている。政府はなんとか気温を下げようと、あれこれ試行錯誤を繰り返したが、ことごとく失敗に終わり、事態をより悪化させることのほうが多かった。中でも新宿を中心に急激な緑化政策をおこなったのだが、それがあだとなり、東京の西側はジャングルと化した。


ジャングルとなった東京の西側にはたくさんの雨が降るが、ジャングル内の衛生状態はよくなく、マラリアを媒介した蚊がたまった水を汚すので、飲み水の確保は難しくり、飲料水の確保が国の懸案事項となっていた。東京以外の都市も状態は似たり寄ったりで、世界中で飲料水は必要とされており、いまや飲料水は高値で取引される貴重なものとなっていたのだった。ちなみに飲料水以外の生活用水は海水を浄化して使用している。


彼と別れて、泣き疲れたわたしは、すぐに布団にもぐりこんで眠ろうと思った。早く寝ることで、今日の出来事を忘れてしまいたかったのだ。しかし眠りはすぐにわたしのもとを訪れてはくれなかった。彼との思い出が頭のなかをかけめぐり、その都度嗚咽をもらし、濡れた枕に顔を押しつけ眠ろうと思ったのだけど、眠ろうと思えば思うほど、目はさえてくるばかり。彼と過ごした日々が自分にとって、いかに大きな割合を占めていたのかということを再認識し、彼へのかなわぬ思いがわたしの目に涙をつくり続けた。

どれくらい泣いていたのだろうか?わからないけれど、気付いたときには意識が遠くかなたにとんでいた。しかし眠っていたのはほんのわずかな時間だったと思う。布団の冷たさでわたしは目をさました。辺りは真っ暗だったのできっと真夜中なのだろう。枕だけではなく布団までびしょびしょにぬれていて、さらに床が水浸しになっていた。いったい何がおきたのだろう?寝呆けまなこのわたしにはさっぱりわからずにただただ混乱していた。はじめは水道をだしっぱなしにしたまま眠ってしまったのかなと考えたのだけど、水道の使用は数年前から規制されていたので、夜中の間は使うことができなかった。なので床一面が水びたしになっている原因がわたしにはさっぱりわからなかった。

もちろん、そのときは自分の目から涙が流れ続けているなんて思いもよらなかった。確かにわたしが着ていたTシャツは雨に降られたかのように濡れていて、おかしいなとは思ったけれど、自分が泣いているという感覚は全くなかった。もしかすると、そのときすでに感覚がまひしていたのかもしれない。そしてとにかく水浸しになった床をなんとかしなきゃと思ったわたしは部屋のドアをあけはなち、ドアの外をみたとたん腰を抜かしてしまった。なぜって?それはわたしの住むマンションの3階部分までがみな水没していたから。ちなみにわたしの住む部屋はマンションの最上階にあたる5階にある。

ほんの少し眠った間に東京は水没してしまったのだと思った。ドアを開けたまま、急いで映るテレビのスイッチを入れる。映るはずはないと思っていると、予想に反して画面には古い映画だろうか?西部劇が放映されていた。チャンネルをまわすが、どのチャンネルもいつもとかわらない番組を放送していた。いったいこれはどういうことなんだ?わけがわからないわたしは、誰かに確かめてみようと携帯を取り出したのだけど、東京で唯一の知人であり、彼氏だった人とついさっき別れたばっかり。さすがにちょっと気まずいなぁとは思いながらも、現状を知ることが大事だと思ったのでさっそく電話してみた。でも電話の先から流れてくるメッセージは
「電波の届かないところにいるか、携帯の電源が入っていません」
電話が通じなくなってるのかな?って思ったので、自宅の電話にかけてみたらすぐに電話のベルが鳴り出した。こんなときになんだけど、もしかして、わたし着信拒否されてるのかな?そう思ったらまた少し泣けてきた。でも今はそれどころじゃない。とにかく状況を理解しなきゃ。でもどこに連絡したらいいんだろう?考えた末に浮かんできたのは110番。さっそく110番にダイヤルすると、きちんと繋がった。

「こちら110番、こんな夜中にどうしました?」
といつもとかわらない横柄な声が電話から聞こえてきた。
「家の周りが水没してるんです。でもテレビや、ラジオでも何もいってなくて、いったい何がなんだか。」
といっている最中に「寝ぼけてんじゃね~よ。」と、ものすごく不機嫌そうに一言いわれてガチャンと電話を切られてしまった。わたし寝ぼけてるのかな?そう思ったので、もう一度ドアから外を見ると、変わらず3階部分までが水の中に沈んでいた。これって私の目の錯覚なのかな?そう思った私は、家を飛び出し、下にいってみることに。エレベーターに向かうとエレベーターは動いていなかった。仕方なく、階段で降りるとやはり3階あたりには水がちゃんとあった。これは錯覚なんだと自分に言いきかせて水の中にはいっていくと、冷たい感覚はあるし、体が濡れていくのもはっきりとわかった。何より息ができない。それに私は泳げない。やっぱりこれは現実なんだと、確信したびしょぬれのわたしは水からでて部屋へと急いだ。

体を乾かしてから、そうだ、隣の家に行ってみよう。そう考えた私は真夜中にもかかわらず隣の部屋を訪ねることにした。しかしどうしたことだろう。隣の部屋だけでなく、このフロアの全ての部屋に人がいる気配がしなかった。真夜中だからみんな眠っているのかな?とも考えたのだけど、どれだけインターホンを押してもどの部屋でも全く、反応がないのはおかしいと思った。でもいないものはしかたがない。そう思って部屋へと帰ったのだった。


突然湧いてでた湖の出現に政府も驚いた。すぐに調査チームを派遣し、純粋な水だということが確認できると、水が湧いてくる元を確保する為に、特殊部隊を派遣した。どうやら、水が湧いてくる元はマンションの1室らしい。しかも調べを進めていくと、一人の女性がこの水を生み出しているらしかった。どういう方法で水が生み出されているのかはわからなかったが、貴重な飲料水が突然出現したので政府はこの水の確保を最優先事項として政策を進めた。

まずは、その女性一人を残し、地域の住民をみな避難させ、その部屋だけを残すようにした。住民たちはもちろん避難するのを拒んだが、そういうものはみな力づくで、強制的に退去させ、この地域の立ち入りを禁止にした。さらにそのマンションの電気や、電話は止まらず、今まで通りの生活ができるように手配し、電話が繋がる先も全て政府で把握できるようにした。そして、街を囲む堤防をつくり、この地域を完全に封鎖した。ここまでで半年がすぎた。水のたまるスピードは予想より早く、すぐにこの地域は水没した。そして堤防から川が流れるように治水工事を進め、浄水場をつくりだし、政府専用の水源を確保したのだ。政府は大規模な情報規制を敷き、あの地域の封鎖は新種のウイルスが発生したとして、住民達を一切近づけないように仕向けたのだ。

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改稿とかきちんとしたらこれで10枚くらい。小説でいうショートショートがこれくらいの長さなんだよね。
これでもいっぱいいっぱいだから長編とか書くのは難しいなぁ。勢いで10枚くらいまではいけるってことが
これでわかったのでよしとしよう。この話自体は未完です。

by Kurt. | 2006-05-15 21:11 | 雑文(創作系) | Top |

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